mediezzzの日記

幼稚園保育園の制度(お金)についての備忘録、説明原稿

無償化によって値上げになった場合にチェックすべきこと

一か月前にほぼ同じ内容を書いていますが、少しだけ立場を変えて。

 

10月から消費税が上がり、様々な費用が値上がりします。

併せて、幼児教育無償化によって、保育料が下がる代わりに、厳密な計算と実費徴収を求められる品目があります。

 

それぞれの園で便乗値上げ許すまじというマスコミ論調になっていますが、制度不備など、園に責任がないものを園の便乗値上げにされるのも風評被害になりますので、その仕分けと、判断基準を記述します。

 

値上げには、次の2種類があります。

  • 10月から変更しなければいけないもの
  • いつ上げるかは園が決められるもの

個別に上げていきます。

 

10月から変更しなければいけないもの

  • 主食費

こちらは従来から、実費徴収で満額取っていたはずなので、本来は無償化によって金額が変わるものではありません。

 

しかし、無償化によって、園の裁量で値引きをすることが禁止されます。

 

色々な事情で、本来取るべきお金を取っていなかった場合に、値上げの可能性はあります。園の責任はありません。

市町村全体でそういう状況だったら、市町村が給食費補助という形でやらないといけません。

  

  • 副食費

いままで、幼稚園や1号認定児は満額払い、保育所の2号認定児は保育料に含まれていて0円だったものです。

国基準で、月額平均4500円の徴収が必要となります。

 

給食費が値上がりして無償化が意味がない」というものの大部分はこれですが、愚痴っている人のほとんどが、見落としている事項があります。

 

先月の記事にもあるように、保育料が4500円を割っていそうな所得層及び3人目については、自治体が副食費徴収禁止名簿を園に配り、園は該当の子から副食費を徴収してはいけない」というものがあります。

 

国が、「給食費のために無償化で負担が増えると言われないように」ものすごく複雑な制度になっており、園も自治体もそれなりの事務負担になっております。

 

自分が副食費によって値上がりしそうだったら、免除対象でないかを先に確認してください。

事務処理や名簿の配布が間に合っていない可能性もあります。

 

 参考:給食費の消費税の影響について

給食費の消費税は

・保育園、認定こども園、新制度に移行した幼稚園(新制度園)

 どんな形態の給食であっても非課税

 

・授業料を園が決める幼稚園(私学助成園)

   授業料に含んでいれば、無償化対象外で明示されても、非課税は継続

   授業料と別なら課税          (全員給食なら軽減税率8%)

   外部搬入なら、搬入業者が消費税支払(弁当は軽減税率)

 

なので、消費税が直接の理由の影響は少ないです。

流通や容器代が値上がりしたり、最低賃金が上がったりの影響がありますので、多少の値上げは想定されます。

幼稚園にはまずありませんが、学食は外食扱いで10%です。

 

  • 実費徴収で、園の会計を通さないもの

実費として幼稚園の経理を通さない場合は、外部業者が消費税も含めて値上げをすれば、幼稚園が扱う値段も上がります。

 

 

いつ上げるかは園が決めるもの

  •  授業料

無償化に限らず、収支計画で赤字であれば、幼稚園は値上げをする必要があります。

先生の待遇を改善しようとすれば、それを保護者負担で賄わなければいけません。

 

今回は、消費税のタイミングがわかっているので、消費税分の値上げをその時期にするのであれば正当性があります。

消費税以外は原則年度で考える収支予算計画なので、それ以上に変えるのであれば便乗値上げと言われることは想定の範囲内です。

 

保護者負担を変える場合は必ず説明が必要です。

NHKの取材にも答えました(ほとんどカットされました)が、人件費をはじめ値上げ理由はたくさんあり、説明さえ足りていれば便乗値上げにはならないケースがほとんどと認識しています。

 

  •  その他経費

教材等も、もちろん増税されます。

バス代等は、外部委託していればその金額が増えるのですから、園が仕入れ差額で消費税をどうしていようと、費用は増えると思います。

 

幼児教育無償化におけるよくある誤解

よくあるデマ としようかとも考えたけど、煽り記事にする気はないので。

 

上の子が無償になると下の子半額がなくなる?

デマです。

https://t.co/9lTUPNG7f4?amp=1

5月30日の内閣府動画の中でも否定されています。

 

保育料が0になっても他が値上がりした

原則論として、副食費以外の値上げは、「無償化がなくても値上げしていたけど、偶然タイミングが無償化に重なった」以外は認められません。

もしくは、今までが不自然に安かった給食費を値上げする場合です。

 

教材費が上がった、預かり保育料が上がったなどは、すべて園の便乗値上げであり、無償化はきっかけではあっても、無償化による値上げではありません

 

保育料より副食費が高いから負担が増える

これが嫌だからどうするんだとか、給食費を無償化しろとか、子ども子育て会議でいろいろありましたね。

 

いままで、

2号の人はご飯代を払い、おかず代は保育料に含む

1号の人はご飯代もおかず代も払う。園によっては光熱費や人件費も含めて給食費で払う

という制度でした。

これが、おかず代を保育料に含むのを禁止したわけです。

 

新制度園の場合

保育所の基準で、市民税所得割額57,700円未満にあたる方

幼稚園だと市民税所得割額77100円未満の方

幼稚園の場合目安として年収360万未満相当の方

この場合は、おかず代徴収禁止のリストに入ります。

3人目で保育料が0円の人は、年収に関わらずおかず代徴収禁止です。

 

この場合、今までおかず代を徴収していた1号認定の人も、一緒に徴収禁止ですので、制度上は今までより安くなる人もいるわけです。

 

私学助成園(新制度未移行園)の場合

市町村の裁量で、前記に該当する所得階層の人は、上限4500円の補助が出ます。

やらない市町村があると、同じ幼稚園で同じ収入で、補助が貰える人ともらえない人が出てくるので、何としてでもやってくれと、全日本私立幼稚園連合会や各種団体から要望が出ています。

 

今まで保育料が4500円より安いけど、おかず代でそれ以上請求された、

のであれば、無償化によって値上げがあったといってよいでしょう。

ただし、副食費徴収対象になるのであれば、ある程度の保育料を払っている前提です。

名古屋市の場合、ボーダーラインの保育料は13000円、2人目半額でも6500円でした。

 

ものすごく裕福で、保育料が特別に安い自治体だったら、逆転の可能性が出てきますが、そこまで安い自治体なら、副食費補助を要求するべきですし、逆転が起きないように配慮しろとは国からも指示が出ています。

 

また、今回の無償化において、「今までご飯代も払っていなかったのに」というのであれば、それは2号認定なら自治体の責任です。

ご飯代補助を継続するよう自治体に文句を言うしかありません。

無償化の問題ではありません。

 

私立のこども園であれば、今まで2号とバランスを取るために1号を原価割れにすることはありえますので、それは値上げになります。

 

 

 

幼児教育無償化情報 幼稚園一般向け31年2月現在版

幼児教育無償化における、各幼稚園の変化について

 ・授業料について

 ・無償化の範囲

給食費や教材費など、項目が分かれている場合はすべて別とすることとして、授業料に相当する部分のみ無償化の対象となります。給食費を含む授業料というのは、原則禁止されます。上限は授業料に対して月額25700円です。

 

例として

・授業料が月額20000円の幼稚園の場合

払った授業料が上限になるので、無償化による補助額は月額20000円です。

払った額以上のお金がもらえることはありません。

・授業料が月額27000円の幼稚園の場合

無償化上限が月額25700円なので、無償化による補助金を月額25700円受け取ります。

差額の1300円は保護者負担です。

・授業料27000円(内給食費4000円)の幼稚園の場合

給食費は無償化対象外なので、授業料から給食費を引いた残り23000円が無償化の対象になります。

そのため、無償化による補助額も月額23000円です。

最終判断は市町村にゆだねられるかもしれませんが、アレルギー等で給食を食べられない子に対して減算規定があれば、それが給食費とみなされます。

 

 幼児教育無償化の基準額の月25700円は、平成24年の年間授業料(+入園料)の全国平均額です。平均値である以上、一定数はその額を上回る園があるということであり、すべての園で保護者負担がなくなるわけではありません

 

・お金の支払われ方

 幼稚園が授業料を定める園の幼児教育無償化は、平成31年度は、「償還払い」となる自治体がほとんどです。自治体によって変わります。

 

 償還払いとは、平成31年9月までの幼稚園の補助金である、私立幼稚園就園奨励費補助金と同じ仕組みで、「一度幼稚園に授業料を払い、後日補助金として返還を受ける」方法です。なので、毎月の支払いは、無償化となる10月以降も必要です。

 一方、認定こども園や、施設型給付の幼稚園と言われる、「市町村が1号保育料として定める」園は、その1号、2号保育料が0円になります。保護者が授業料を納めなくても自治体が代わりに授業料を納めることを、「現物支給」といいます。

 

 償還払いでは、最終的には無償であっても一時的な保護者負担が発生します。現物支給では発生しません。国の方針として、授業料無償化については、平成32年以降、現物支給に変わっていくように自治体に働きかけをしていくこととされています。

 

給食費の補助

 保育所の副食費(おかず代)は、今まで保育料に含まれていました。それを、無償化で幼稚園と統一的に扱うために、給食費保育所であっても別で徴収することとなりました。

 すると、低所得者層、並びに第三子など、今の時点ですでに給食費を含んだ保育料が無償になっている世帯では、無償化前より給食費分だけ負担が増えることになります。

 そこで、就園奨励費の第3階層まで(想定年収約360万以下)の世帯、並びに、第3子無償化の対象だった子の世帯については、幼稚園保育所関係なく、新しく給食費(おかず部分)に対する補助が検討されています。

 制度の詳細はまだ決まっておりません。

 

 

 ・預かり保育の無償化について

 幼稚園に通う子の中で、保育所への入園条件を満たす子に対しては、保育所との差額相当の預かり保育の補助が受けられます。

・条件

〇4月1日時点で3歳以上の子

 保育所は3歳の誕生日を迎えても、年度内は2歳とみなされます。預かり保育無償化はあくまで保育所との比較でできた制度なので、幼稚園の満三歳入園も2歳とみなされ、無償化の対象外となります。

保育所の入園条件を満たしたうえで、幼稚園に通っている子

 例えば保護者の就労の場合、週16時間以上が条件です。

 

・金額

 月ごとの利用実績に対して日額450円を計算します。上限は日額450円と、支払った金額と、月額11300円の中で一番少ないものです。

 

無償化対象者に対する補助額の計算例

預かり保育を1回300円で月10回利用した場合:300*10=3000円(負担額が上限)

預かり保育を1回600円で月10回利用した場合:450*10=4500円(日額上限450円)

預かり保育を月額5000円で月10回利用した場合:450*10=4500円(日額上限450円)

預かり保育を月額5000円で月20回利用した場合:5000円(負担額が上限)

預かり保育を月額12000円で月25回利用した場合:450*25=11250円(日額上限450円)

預かり保育を月額12000円で月26回利用した場合:11300円(月額上限11300円)

幼児教育無償化の追加情報

12/28の関係閣僚合意や、それの元になった10月11月の事務方の会議で出てきた情報

高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針について:文部科学省

 

無償化以降は新制度園は1号2号保育料が0

私学助成園は、1号保育料25,700円を上限として、就園奨励費と同様に、後日返金を基本とする。

自治体が頑張って、保護者から徴収不要にするのは自由。その取り組みを国は支援する。

 

実費徴収は対象外

給食費は実費徴収に切り替える

低所得者には、実費徴収に対する負担軽減策(補足給付)を行う。

→今ある生活保護世帯の教材費等の補助を、年収360万以下の副食費にも拡げる

 

途中入退園の場合、無償化の補助は日割り計算する。

1号保育料が日割り計算のため、それと同額という観点から、無償化の上限も25700円の日割り計算と推測される(まだ検討中)

 

預かり保育無償化は、月~土でフルに使って11,300円という計算から、25.1日で割って

日額450円×利用日数 の補助と暫定的に決定

なので、幼稚園でフルに使っても10,000円超えることは難しい。

 

幼稚園と無認可やシッターを併用する場合は、幼稚園が利用日数と費用を取りまとめ、幼稚園の預かりと合算して市町村に請求する。

 

無償化いろいろの備忘録

平成31年度の無償化分は国費で

今から検討では自治体の予算作成に間に合わないため、1年先延ばししたと認識しました。

同時に、無償化を理由に幼稚園への補助が削減されないようにというメッセージになります。

 

6月の毎日新聞で、無償化のお金の大部分が自治体の独自補助の穴埋めに使われるのではとありました。

地方交付税交付団体では、もともと無償化で増加する負担は地方交付税で賄われるという認識です。

それが、不交付団体の場合に、独自補助とどちらが多いのかみたいなのを調べる必要が出てくるため、負担が増えるかどうかの精査が時間がかかるだろうと思っていました。

 

とりあえず幼稚園団体としてはありがたいことです。

 

各種学校は無償化対象外

各種学校とは、学習塾やインターナショナルスクール等も含みます。

幼稚園認可がない以上、幼児教育無償化が合わせて目指す質の向上が保証されないので、認可のない園は無償化対象外というのは当たり前です。

ただし、認可に希望すれば入れるならという前提があります。

 

保育所が無認可でも無償化されるのは、認可で入り切れないからです。

認可で数が足りたら、無償化ではなくなる可能性もあります。

内閣府文科省厚労省も、認可だから無償化する幼児教育無償化と、待機児童解消のために止むを得ずする無認可の無償化は別の整理をしていると聞いています。

 

認可外を無差別で認めたらきりがありません。

その質の担保をするのが認可です。

認可以外にも税金を支出する理由を出せない限り、幼稚園類似施設は無償化対象になりません。

 

国基準でならないけど、市町村が独自認可を出すことで幼稚園不足に対処し、就園奨励費等も出しているのであれば、無償化後も市町村の責任で無償化する必要があります。

独自認可がいらない状況であれば、それを説明して自治体の責任で撤退させる必要があります。

無償化と便乗値上げの考え方

新聞等でよく記事になっていますが、騒げれば何でも書く記者とは別の視点として。

 

幼児教育無償化は、全額保護者への補助金です。

ということは、幼児教育無償化の前後で、幼稚園の収支は変わることはありません。

一方、保育料の値上げは、園が赤字かどうかで判断します。

無償化と収支状況・保育料の決定根拠は関連しません。

 

このため、「幼児教育無償化を根拠に値上げしてはいけない」と、全日本私立幼稚園連合会は通知を出しています。

が、同時に、「無償化後に保育料を値上げしてはいけない理由はない」ということです。

 

 

幼稚園の6割は25700円より安い保育料で運営していると聞いています。

この園が値上げするかどうかへの意見ということで、いろんな記事が出ています。

 

ここ10年で、保育士の給料は1割~2割は上がっています。

幼稚園教諭を採用しようとしたら、同じように給料を上げないといけません。

支出は人件費が7割8割当たり前です。

その人件費が2割上がったら、収入を2割増やさないと運営できません。

 

幼稚園の収入は、保護者納付金が6割に、私立学校経常費が4割です。

経常費もここ10年で大分増えていますが、せいぜい2割です。

ということは、保護者の保育料を2割以上上げないと、収入総額が2割増にならず、保育所と同じ給料を払えないということです。

 

参考に、月額25700円は5年前、新制度の検討が始まったとき、新制度での保育士の処遇改善が行われる前に、全国平均額として決まった額です。

25700円でおさまっている間は処遇改善ができないということです。

 

そこで、この先の給与改善等を含め、事業計画をたて、それによって保育料がいくら必要かを計算して決定する、というのが保育料です。

 

 

無償化のタイミングで値上げをする園があるのは当たり前です。

無償化関係なく値上げをしないとやっていけない状況だからです。

 

 

事業計画に必要のない値上げをしたり、

値上げ後の金額が事業計画を根拠としていなかったり、

今まで20000円で経営できていた説明をせずに25700円としたり、

 

等は便乗値上げと評されて当然ですが、

その精査をせずに値上げ反対というのは、保育士等処遇改善反対と主張することと同義です。

幼児教育無償化についての現状のまとめ

無償化範囲について

1号保育料無料、2号保育料無料、就園奨励費308400→重要だから無償

預かり保育が用件付き無償、無認可保育所無償→待機児童対策で別枠で無償

 

満三歳児 1号は就園奨励費連動で無償、2号は保育所の従来通り学齢3歳から

連動して、預かり保育用件付き無償も、用件が2号の無償化対象に相当することを含むので、学齢3歳から

 

 

308400円より多く授業料を取っているところは無料にはなりません。

授業料以外の費目は(入園料を授業料に振り替えたもの以外は)無償にはなりません。

全員一律にかかる費用ではないからです。

 

給食費については、幼稚園に給食義務がないため、全員一律のものではないとみなされています。

教材費、冷暖房費なども、保育料で賄えるはずなのに余分に徴収しているもの扱いです。

制服も、制服がない園が基準になりますので無償になることはありません。

 

PTAは別会計です。

 

 

無償化の方法について

 現状では私学助成園は就園奨励費、つまり従来通り払って、後日返金。

 

 

無償化の後に必要なこと

http://www.soumu.go.jp/main_content/000567241.pdf

地方交付税は市町村負担に対して税金が足りない場合に国が補填するもの。

無償化の市町村負担割合2/3、という部分は、地方交付税交付金が増えるので、市町村負担が増えることはない。

そして「留保財源枠でやっていた市町村単独事業のうち、30万+αを支給していたもの以外の経費は必要なくなる」。

同時に、1号2号保育料を自治体で下げていた分も不用になる。

 

だから、絶対留保財源から出していた分が余るはずで、それが子育て以外に流れないように予算を確認する必要がある。

 

幼児教育関係者に求められるもの

消費税が財源となった以上、すべての人が関係者という意識が強くなります。

関係者の評価を得られるように努力する必要があります。