幼稚園に入園するときにチェックするべきこと 仮
毎年毎年同じような記事で、
費用、給食、バス、預かり(平日、休日、夏冬春休み、料金)、教育方針、保護者参加率、プレと優先受付、以下略
をチェックするといいというような記事があります。
ですが、27年度入園から、子ども子育て支援新制度が始まるので、この絡みでチェック項目が増えます。
主な変更点、チェックした方がよい点を列挙しておきます。
これは、保護者が園に聞くことというよりは、園が説明責任として新たに負担を負わされるものと認識しています。
なお、以下では1号=幼稚園、2号=保育園と表現している部分があります
27年度以降、自分の子が卒園するまでに、新制度移行する予定があるかどうか。
これは、大都市の小規模園ほど移行のメリットがあります。
習い事のようなオプション商法で採算をとっている園は、メリットが薄いです。
首都圏の場合、補助金が減ってでも学校法人になるのを拒否した園が、学法と同じ補助金になってぼろ儲けの可能性。
新制度に絶対移行しない・・・という園しか選択肢がないのであれば、以下の内容は確かめる必要がありません。
今までのよくある記事のチェック内容で十分です。
新制度が選択肢にある場合、まず確認することは
1号と2号の両方の受け入れ枠があるか
です。
これは、新制度で「認定子ども園になるか」という意味でもあります。
保育園か幼稚園か迷っている人にとっては重要です。
新制度のイメージと現実で一番大きくずれるのがここだと思います。
新制度の売りは、従来の幼稚園と保育園をひとつの施設に、そして、
年度途中での就労等の理由により施設を移動しなくてもいいように
というのがありますが、
- 幼稚園が新制度移行しても、保育園枠を取れるとは限らない
- 保育園が新制度移行しても、幼稚園枠を受け入れる必要はない
からです。
例えば幼稚園が保育園枠を取るには給食義務です。給食をやっていない園では、幼稚園枠+預かりで対応はできても、保育園枠にはなりません。
逆に保育園枠と幼稚園枠では運営費が倍は違うので、気軽に枠は取れません。
これだけチェックすれば制度上は問題ないです。
金銭面も気になる人は続きへ。現状どんな状況になっているかを書きます。
金銭面が気になる場合は、チェックしたいのは
1号枠(幼稚園枠)の料金
です。ただし、これを決めるのは自治体であり、執筆現在具体的な数字は出ていません。
秋の入園募集に間に合うかもわかりません。
この料金部分、自分が一つしか選択肢がないなら関係ないですが、他と比較する場合は大きな差が出てきます。
まず確認ですが、現行制度の場合
- 保育園は自治体が料金を決める。
最大10万だけど、実負担を超えないという制限から実質4~5万で、さらに自治体が割引して3万ぐらいが多い。
副食費込み、9時間?までは同一料金、長期休みは盆と正月ぐらい
- 幼稚園(現行制度)は施設が決める
全国平均は入園料込みで30万、首都圏は5割以上増
食費なし、基本4時間でそれ以上は延長料金、長期休みあり(夏休み保育は大体+1か月分は必要)
という違いがあります。
これが、新制度の幼稚園になると
- 新制度の幼稚園の場合は自治体が決める
国基準は年30万(月25700)、ただし、足りない場合は追加徴収可能。 というのが決まったばかりで、自治体が決めるのは秋の議会以降。
食費は、調理師パート相当ということで、1食50円程度、差額は保護者負担。
基本4時間でそれ以上は延長料金、長期休みあり、休みの保育は追加料金、というところは幼稚園のまま。
となります。
何が問題かわかりにくいですね。
これは、自治体がいくらで決めるか、どこかが不公平になるという問題があります。
例えば名古屋の例で、保育料最大月29000円、幼稚園授業料が、平均値-補助金が一番少ない人の補助金で月18000円の場合で考えます。
これでも、給食費を別で払って、入園料足して、夏休みも預かりをやれば、年間で同じぐらいの金額になります。
もし、国基準で自治体が月25700円と決めた場合
まず、現行制度と新制度で比較すると、保護者負担が月5千円以上上がります。
この負担増は、自治体が高く決めた以上、自治体は一切補償してくれません。
園が補償したら、「消費税財源で補助が増えて、職員の待遇改善」なんてうたい文句があほらしくなるぐらい、新制度のメリットがなくなります。
また、新制度同士で「同じ園に通う幼稚園枠保育園枠で比較すると」
月3~4千円という差、給食費を考えたら実質同じ額で
上述の預かり時間の差が発生することになります。
新制度で1号2号の差が5000円程度となったら、
新制度はあくまでも幼保が同じ制度にというのが売りでありながら、預かり時間が変わっても負担がまったく変わらないような状況になります。
最低でも幼稚園は、保育園から1万円近く低い設定をされないと、同じ制度の間での公平性が担保されません。
そして、この差を制度として埋める場合の費用負担は、市町村が100%と考えられます。
名古屋市だったら月5000円を埋めるのに20億(全園が移行した場合)
新制度で自治体負担が増えるのは消費税財源が投入されるでしょうが、それとは別に20億の追加予算を組む必要があります。
今の段階でこの費用を予想している自治体は無いでしょうから、はっきり言って期待薄です。
入園先を検討する時期に詳細が出るとは思えないため、27年度に移行する幼稚園は、「現状認定子ども園になっていて、強制的に移行させられるところ」ぐらいでないかと予想しています。
この幼稚園と保育園の格差は、今まで幼稚園団体が不平等だと訴えてきたことですが、
・制度が違う
・保育園は福祉だ
で無視されてきたことです。これを制度が同じになっても続けるということになります。
このような部分をチェックしながら、自分の行きたい園が新制度に移行するかどうかを見守っていくことになります。
もう1点、現行制度から大きく変わるかもしれない部分
兄弟がいるときの保護者負担軽減の兄弟の範囲がどう変わるか
今の制度の幼稚園は、兄弟は3歳~小3です。
今の制度の保育園は、兄弟は0歳~小学校入学前です。
ともに6年で一緒ですが、3歳以降だけ見れば幼稚園のほうが補助が受けやすいです。
新制度の場合、幼稚園を保育園化する側面があるため、兄弟の範囲を狭められる可能性があります。
同じ範囲で保育園との整合性を取るためといえば、それっぽく聞こえるでしょう。
ただ、現行制度の幼稚園に通う人から見れば、圧倒的な負担増です。
具体的に言えば、全園児の20~30%の負担が、年間10万以上増えます。
それぐらい大きいことなのに、現状無視されているのが、保育所部門主導の新制度。
なお、入園手続きなどはまったく変わらないと考えられます。
新制度に移行した園は「応諾義務」が加わり、定員を割った場合は幼稚園は入園を拒否できませんが、
保護者が園の方針に同意して、自己責任で選んだ園に入園しているはずなので、トラブルは起こらないはずである
という行政方針ですし、
今までありがちだった「幼稚園が入園を認めたんだから責任を取れ」という保護者の言い分は難しくなるでしょう。