mediezzzの日記

幼稚園保育園の制度(お金)についての備忘録、説明原稿

幼児教育無償化の問題点

結論から言うと、2号を無償にすると言い出したことですね。

 

順を追って説明します。



まず、幼児教育無償化の公約が出始めたのはいつか。

民主党政権交代をした選挙の時には、子ども手当+高校無償化、対、幼児教育無償化だったと記憶しています。

なので、それ以前からずっとあった話ですし、もちろん消費税とセットなんて話はありません。

 

その時から、幼稚園は無償化、保育所は教育部分に相当する四時間分を引いて、差額を負担という話でした。

 

当時は新制度は検討も始まっていません。

自民党が始めた認定こども園が、二重行政の典型として、普及が進まないのはどうしてかと言っている時期です。

が、幼保のバランスの悪さが初めて公になりだした時期でもあります。



幼稚園は文科省の教育です。一方、保育所厚労省が福祉であることを固持し、必要な人だけという前提で高い補助率を得ていました。

なので、同じことを行うと幼稚園の方が圧倒的に保護者負担の多い中、時間の違いに誤魔化されてきました。

また、保育所は私立も公立の業務委託のような扱いになり、保育料は公私一律で市町村議会が決めることとなりました。

そのため保育所保育料は、票に繋がるため安く抑えられました。

 

一方、幼稚園は、その保育料より安くしないと保育園に園児が流れるというプレッシャーの中、身銭を切って対抗してきました。

そのため、無償化によって過当競争がなくなることは、業界の悲願でした。



そのような中で、民主政権が幼保の一体化を打ち出し、税と社会保障の一体改革の中で新制度が始まりました。

しかし新制度の設計も、従前を流用したため、幼保の格差はそのまま維持されました。

特にこども園において、保護者負担のバランスの悪さは致命的でしたが、施設の説明努力に任されました。



新制度が検討され始めた五年前の当時から、給食費の負担の差は問題視されていました。

 

幼稚園は、給食については全額保護者負担でした。

一方、保育所は給食を義務とし、まともに栄養を取れない層への福祉という観点から、おかず代については所得に応じた負担として保育料に含むこととなっていました。

 

これは、新制度が始まっても続き、おかず代を含まない1号保育料と、おかず代を含む2号保育料となりましたが、そこまで把握している人は少なく、行政ですら単純比較するような状況でした。



そうした中、どういう流れでそうなったのかが全くわからないまま、2号保育料も無償化するという報道が流れました。

 

同じただならサービスが多い方が人気が出るのは自明です。

預り保育も無償化するといっても、それに2号認定を求めていたら結局2号に流れます。

長時間保育の推進と待機児童の悪化は避けられません。

 

只でさえ2号に流れるのを何とかしないといけない状況で、給食費でも2号有利になっているのはなにがなんでも解決しないといけません。



給食がなぜ幼稚園で実費負担かというのは、文部科学省が食事(給食)を教育と認めない判断をしているからと聞いています。

法律で無償と定められた義務教育についてすら、その給食が有料なのは、同じ根っこです。

 

子ども子育て会議において、多くの委員が

 

給食は食育だから教育+教育は無償=給食も公費負担すべき

 

という論調で意見を述べていましたが、教育を拠りどころにしたら逆効果かもしれません。

最低でも小学校給食も同時に何とかして予算要求をする覚悟は必要です。

 

論点は

・弁当の園を無視して無償化するかどうか

低所得者に負担増になっても実費にするか

・他の制度を巻き込んででも給付にするか

です。

 

 1号給食費無償の場合

保育所団体の人は弁当の園があること自体が想像の範囲外なこともあり、保育料に含める=日割り計算しない口実ができる方が事務負担が少ないと予想されるため、1号も保育料に含めて無償化するべきだと主張します。

この場合、大体年5万ぐらいの給食費が、弁当の園以外に配られます。

無償化とした場合、払う予定の額に対してしか補助が出ません。無償化では弁当に補助は出せません。

弁当の園には無償化の恩恵がないため、「自分で食事を用意する園」と「年5万相当の食事をただで食べられる園」に分かれます。

10月の子ども子育て会議では、幼稚園団体の代表は会議のテーマに合わせて移行5年に対するコメントだけにし、幼稚園PTAの代表が、弁当も大事にしてほしいと述べた程度で、弁当の園がどれぐらい不利になるのかを意見した委員はいなかったと思います。

 

1号の給食費の根拠を食育に求めた場合、義務教育との整合性を必要とし、予算は跳ね上がります。



 2号の給食費を実費にした場合

公平性だけなら尤も公平です。無償化対象施設に通っていない人や弁当の園の人も含めて公平になります。ただし、今まで応能負担だった層の負担が増えるので、そのフォローなしには福祉の観点から問題になります。

保育所団体が「日割り計算をしないといけないから負担増」というのは、月額設定にすればいい話です。幼稚園側は今まで当たり前のようにやっている話なので、この事務負担に対する給付をというのなら、幼稚園全てに上乗せが必要です。



 給付にする場合

前述のように実費にしたうえで、その負担額を児童手当などに乗せて給付することで負担増をなくす方法です。

こちらも、弁当の園とも、通っていない人とも公平です。

問題は、新制度に保護者にお金が残る給付という概念がないため、他の制度を巻き込むか新しい法律を作らないとお金は配れないということです。



弁当の園としては、是非とも後者でお願いしたいところです。




預かりの問題も、給食費の問題も、結局2号も無償といったことで可視化されただけの、古くから根深くあった問題です。

 

変なアドバルーンを上げた人に責任もって財源確保をお願いしたいところです。