無償化と便乗値上げの考え方
新聞等でよく記事になっていますが、騒げれば何でも書く記者とは別の視点として。
幼児教育無償化は、全額保護者への補助金です。
ということは、幼児教育無償化の前後で、幼稚園の収支は変わることはありません。
一方、保育料の値上げは、園が赤字かどうかで判断します。
無償化と収支状況・保育料の決定根拠は関連しません。
このため、「幼児教育無償化を根拠に値上げしてはいけない」と、全日本私立幼稚園連合会は通知を出しています。
が、同時に、「無償化後に保育料を値上げしてはいけない理由はない」ということです。
幼稚園の6割は25700円より安い保育料で運営していると聞いています。
この園が値上げするかどうかへの意見ということで、いろんな記事が出ています。
ここ10年で、保育士の給料は1割~2割は上がっています。
幼稚園教諭を採用しようとしたら、同じように給料を上げないといけません。
支出は人件費が7割8割当たり前です。
その人件費が2割上がったら、収入を2割増やさないと運営できません。
幼稚園の収入は、保護者納付金が6割に、私立学校経常費が4割です。
経常費もここ10年で大分増えていますが、せいぜい2割です。
ということは、保護者の保育料を2割以上上げないと、収入総額が2割増にならず、保育所と同じ給料を払えないということです。
参考に、月額25700円は5年前、新制度の検討が始まったとき、新制度での保育士の処遇改善が行われる前に、全国平均額として決まった額です。
25700円でおさまっている間は処遇改善ができないということです。
そこで、この先の給与改善等を含め、事業計画をたて、それによって保育料がいくら必要かを計算して決定する、というのが保育料です。
無償化のタイミングで値上げをする園があるのは当たり前です。
無償化関係なく値上げをしないとやっていけない状況だからです。
事業計画に必要のない値上げをしたり、
値上げ後の金額が事業計画を根拠としていなかったり、
今まで20000円で経営できていた説明をせずに25700円としたり、
等は便乗値上げと評されて当然ですが、
その精査をせずに値上げ反対というのは、保育士等処遇改善反対と主張することと同義です。